暫定評価のしくみ

Sという局面から、一手打った結果の局面をSのと言います。 Sの子から見ると、Sはその子のです。 Sから子へ、子からまたその子へとたどっていくと、 ひとつの局面には子がいくつもあるために、 木のように枝分かれしていきます。 こうしてできる局面の枝分かれの構造をSを根とする木と呼びます。 Sを根とする木を考えるとき、まだだれも見たことのない、 理論的に存在する局面をすべて含めて考えることもできますが、 ここでは、 みんなの碁盤のサーバに登録された局面だけからなる木を考えます。 ある局面が登録されており、その子がひとつも登録されていないとき、 その局面をと呼びます。 木の重みはその木のなかにある局面の個数です。 木の高さは、根から最も遠い葉までの距離、 つまり何回親子関係をたどればそこまで行きつけるかの回数です。 局面Sが葉であるとき、Sを根とする木の重みは1で高さは0です。

局面評価

黒7目コミダシを前提として、 その局面からの双方最善の結果が黒勝白勝、または互角(引き分けまたは不明)の3段階で評価します。

暫定評価の定義

局面Sが葉のときは、Sに対して票数が0でない評価のうち、Sの手番の競技者にとって 最も不利なな評価をSに対する暫定評価とします。 より有利な評価をする人が、 その根拠となる子の局面を示していない以上、 その有利な評価を採用するわけにはいかないという理由です。 下の実例を参考にしてください。
局面Sが葉でないときは、Sの子に対する暫定評価のうち、 Sの手番の競技者にとって最も有利な評価を局面Sの暫定評価とします。 これは、通常の先読みの論理の通りで、 手番の競技者が最も有利な手を選ぶことができるからです。 この「Sの手番の競技者にとって最も有利な評価を持つような子」に導く着手を、 Sの暫定評価の根拠となる手と呼びます。 暫定評価の根拠となる手はひとつとは限りません。

実例

暫定評価の概念とそれが検討の中でどのように用いられるかを実例で示します。
Aさんは、初手天元では勝てないという説に納得できないため、 その局面を登録し、「互角」に投票しました。

この時点では、異論がないため、暫定評価は「互角」に なっています。
Bさんは、初手天元は白勝と信じているので、「白勝」に投票しました。

上の図で、「白勝」に一票はいっていることを確認してください。 しかし、暫定評価は「互角」のままです。なぜでしょうか? この局面は白番なので、意見が分かれた場合には白にとって有利な 主張をする方が、根拠となる着手をしめさなければいけないという考え方です。 そこで、Bさんは、次の一手を示しました。

「白勝」の票だけなので、暫定評価も「白勝」です。このときに、 ひとつ前の局面の暫定評価がどうなっているか確認しましょう。

「白勝」に変わっています。この局面は葉ではなくなったので、 子の局面の暫定評価のうちで白にとって最も有利なもの、 という規則に従っています。
Aさんは、黒番の局面から「互角」持ち込めると思う手を示して反論します。

この局面の暫定評価が「互角」となったため、 前のふたつの局面の暫定評価もふたたび「互角」 に戻ります。


Bさんは、白の4手目によって反論することも可能ですが、 2手目の別案を考えました。

この手に対するAさんからの反論がまだない今の時点では、 初手天元の局面を根とする木は下の図のようになり、 その局面の暫定評価は「白勝」です。
この例では、AさんとBさんがそれぞれの立場から検討を進めていますが、 実際には、何人でも検討に加わることができます。
上の図の評価は、あきらかに暫定的で、木が展開されて行くとともに 変化します。しかし、展開された木の大きさが十分大きくなったときには、 それに基づいた暫定評価も安定して精度が高くなると期待されます。